鈴木雅晴税理士事務所 スズキタックス

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鑑定評価は必ず容認されるのか?

2015年5月12日

「不動産鑑定士」という資格をご存じでしょうか。
主に土地や建物の時価を知りたいといった場合に登場してくる専門家ですが、一言でいうと「不動産の経済価値を算定する専門家」です。

近年、相続税の不動産評価にあたって鑑定評価を入れて申告しているケースをしばしば目にするようになってきました。不動産評価をその道のプロに任せたいという税理士が増えたということだと思います。この鑑定評価は相続税の実務において、実際に利便性が高く、通常の土地の評価では補いきれない土地の評価額の大幅な減額が可能な場合もあります。鑑定報酬は支払うことになりますが、それ以上に納税額が減少するのであれば鑑定評価を入れることは一考する価値があります。

しかし、ここで注意しなければいけないことは、不動産評価に当たり、専門家である不動産鑑定士による鑑定評価も絶対的なものではなく、税務署による否認・税務調査等による修正のリスクがあるということです。相続税は申告納税制度ですので、税務署が「これはおかしい」という証拠を提示できない限りは納税者が申告したものが取り敢えずは正しいということになりますが、鑑定評価もおかしいところがあれば税務署に否認されてしまうのです。そもそも税務署の不動産評価のルールは「財産評価基本通達」が基本にあるので、これによらない鑑定評価や実際の売買価格による相続税申告は煙たがれる傾向にあります。そのためか、鑑定評価の税務署の容認率は巷では50%程度といわれており、決して高いとは言えません。

鑑定評価が利用されるケースでよく見るのは、広大地評価を適用できる土地ですが、現に国税不服審判所の裁決により、鑑定評価が否認されている事例もあります。弊所が行ったセカンドオピニオンにおいても、それらしい内容は書いてあるのに、肝心の価格決定について特段何も触れていないことや、逆に結論しか書いてなく、その判断の過程が不十分であったり、不動産の上空一部にしか高圧線がないにも関わらず、あたかも土地全体に高圧線があり、建築制限が及んでいるかのような無茶な鑑定評価も実際にはありました。これでは否認されても仕方ありません。

もちろん鑑定評価自体を否定するものではないのですが、鑑定士にも色々と得手不得手があり、税務に精通した鑑定士に依頼することが重要になってきます。そのような鑑定士が作成した鑑定評価書を添付した相続税申告書であれば、税務署に対する説得力・信用力は増すでしょう。

しかし、多くの税理士は不動産に弱く、多くの不動産鑑定士は税務に弱いのが現状です。税理士は不動産評価を鑑定士に依頼すれば完璧だと思い込み、鑑定士は鑑定評価を作れば税務のことは税理士が勝手にやるものだと思って評価することで最悪の結果につながるのだと思われます。税理士側がその不動産を鑑定評価でやるべきかどうかがわかっていれば起こりえない事態なわけですから。

改めて、肩書のみで判断するのではなく、知識、経験、実績が必要であると言わざるを得ないですね。

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